
「お控えください」「ご遠慮ください」は、どちらも「その行動はやめてください」と丁寧に伝える言い方ですが、以下のような違いがあるよ。
お控えください | ご遠慮ください | |
---|---|---|
核となる意味 | 「やめてほしい」「配慮してほしい」 | 「控えてください」「慎んでください」「禁止」 |
語源 | 和語「控える」 | 漢語「遠慮」 |
ニュアンス | 柔らかい依頼、自制の促し | やや強い依頼、禁止の促し、辞退の促し |
与える印象 | 配慮的、穏やか、自主性に委ねる | 直接的、やや硬い、規則的 |
適した場面 | 個人的な配慮を求める場面、軽微な注意 | 公的な場での規則、明確な禁止事項、辞退の促し |
このページでは「お控えください」「ご遠慮ください」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「お控えください」「ご遠慮ください」の意味と例文
まず、ベースとなる「控える」「遠慮」の辞書での意味を確認しておきましょう。
【控える】
・度を越さないように、分量・度数などを少なめにおさえる。節制する。
・自制や配慮をして、それをやめておく。見合わせる。【遠慮】
・人に対して、言葉や行動を慎み控えること。
・辞退すること。また、ある場所から引き下がること。出典:小学館『デジタル大辞泉』
辞書の説明で意味の違いはわかりますが、使い方にも慣れておく必要があります。詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いを確認していきましょう。
「お控えください」の意味と例文

「お控えください」は、「控える」に尊敬の接頭辞「お」と、丁寧な依頼の「ください」がついた表現です。相手に行動をやめてほしいと伝えるときに使われますが、命令ではなく、配慮や自制をお願いするやわらかい言い方なんですね。
たとえば「大声での通話はお控えください」とあれば、「静かにしてほしい」という気持ちを、丁寧に伝えていることになります。
「控える」は日本語に古くからある「和語」なので、響きがやさしく、親しみやすい印象を与えるのも特徴です。また、「恐れ入りますが」「ご協力をお願いします」などのクッション言葉を添えると、さらに丁寧で気遣いのある印象になります。相手に不快感を与えず、気持ちよく協力してもらいたいときにぴったりの言葉ですね。
【一般的な場面での使用例】
- 混雑している電車内では通話をお控えください。
- 風邪気味の方は無理な外出をお控えください。
- 深夜の騒音は近隣の迷惑になりますのでお控えください。
【ビジネスシーンでの使用例】
- 重要な会議中は私語をお控えください。
- 業務時間中の私用電話はお控えください。
- 社外秘情報の持ち出しはお控えください。
【掲示物・注意書きでの使用例】
- 店内での飲食はお控えください。
- 施設内ではペットの同伴をお控えください。
- 当日は香水の強い使用をお控えください。
「ご遠慮ください」の意味と例文

「ご遠慮ください」は、ある行動を控えてほしいと伝える丁寧な表現です。「遠慮」という言葉にはもともと「先を見通す深い思慮」という意味がありましたが、時代とともに「控える」「辞退する」といった使い方に変化してきました。
現在では、「禁止」に近いニュアンスで使われることが多く、「やめてください」を丁寧に言い換えた表現として定着しています。特に、ルールやマナーを明確に伝えたい場面に向いていますね。
この言葉は「ご遠慮ください」と漢語で構成されているため、「お控えください」と比べると少しかたく、直接的な印象を与えます。その分、注意喚起や禁止事項をしっかり伝えたいときには、効果的に使えますよ。
【一般的な場面での使用例】
- 強い香水の使用は周囲の方への配慮からご遠慮ください。
- 他のお客様のご迷惑となる行為はご遠慮ください。
- 体調がすぐれない方は参加をご遠慮ください。さい。
【ビジネスシーンでの使用例】
- 会議中のスマートフォンの使用はご遠慮ください。
- 納期変更のご相談は直前のご連絡をご遠慮ください。
- 無断キャンセルはご遠慮くださいますようお願いいたします。
【掲示物・注意書きでの使用例】
- 関係者以外の立ち入りはご遠慮ください。
- 館内での飲食はご遠慮ください。
- 騒音を伴う作業は近隣のご迷惑となりますのでご遠慮ください。
「お控えください」「ご遠慮ください」の適切な使い分け
「お控えください」は、相手の良識や配慮に任せる、やわらかなお願いの表現です。自発的な行動の抑制を促す場面に向いていて、穏やかに伝えたいときにぴったりですね。
一方、「ご遠慮ください」は、やや強めに「やめてください」と伝えるときに使います。特に、ルールや禁止事項を明確に示したい場面に合っています。意味がストレートに伝わる分、少しきっぱりした印象になりますよ。
この違いの背景には、言葉のルーツも関係しています。「お控えください」は日本語本来の「和語」由来で柔らかく、「ご遠慮ください」は中国からの「漢語」由来で少しかたい印象を持ちます。だからこそ、言葉選びで印象に差が出るんですね。
【やさしく配慮を促したいとき→「お控えください」】
たとえば「スマートフォンのご使用はお控えください」など、軽めの注意でよく使われます。
【明確に禁止したいとき→「ご遠慮ください」】
「関係者以外の立ち入りはご遠慮ください」などがその例ですね。
【掲示物など不特定多数に向けるとき→「ご遠慮ください」】
ただし、やわらかく伝えたいなら「お控えください」を使うのも良い選択です。
【もっと丁寧にしたい場合】
「ください」を「願います」に変えて「お控え願います」「ご遠慮願います」とすることで、さらに格式高くなりますよ。
日本語の依頼表現は、とても奥が深くて繊細です。相手との距離感や場の空気に合わせて、ぴったりの言い回しを選べるようになるといいですね。
「お控えください」「ご遠慮ください」の類語・言い換え表現
日本語では目的や相手との関係性に応じて、言い方を微調整することが求められます。うまく使い分けて、伝えたいことを気持ちよく届けられると良いですね。
やわらかく伝えたいとき
「やめてください」をやさしく伝えるには、疑問形やクッション言葉が有効です。
- 「〜していただけませんか」
相手に選択の余地を残しつつ、丁寧にお願いできます。
例:「写真撮影はご遠慮いただけませんか?」
- 「〜願います」
「〜ください」よりもさらに控えめで、フォーマル度も高めです。
例:「お控え願います」「ご遠慮願います」
- クッション言葉を添える
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などを文頭に置くと、柔らかい印象になります。
例:「恐れ入りますが、廊下での立ち話はご遠慮くださいね」
ただし、使いすぎるとまどろっこしくなるので注意しましょう。
しっかり禁止を伝えたいとき
より明確に「やめてほしい」と伝えたい場合は、次のような表現が向いています。
- 「おやめください」
やわらかさを保ちつつ、禁止の意志ははっきり伝えられます。
例:「ゴミの放置はおやめください」
- 「お断り申し上げます」
かなり強めの拒否表現で、公式な場に適しています。
例:「当店ではそのような対応はお断り申し上げます」
- 「ご遠慮いただいております」
組織やルールによる禁止であることを伝えたいときに便利です。
例:「お持ち込みはご遠慮いただいております」
丁寧に辞退・拒否したいとき
断るときも、日本語では配慮ある言い回しがたくさんあります。
- 「遠慮させていただきます」
最も一般的で、柔らかい断り方です。
例:「今回は参加を遠慮させていただきますね」
- 「ご辞退申し上げます」
改まった場での丁寧な言い方です。
例:「誠に恐縮ですが、ご招待はご辞退申し上げます」
- 「見送らせていただきます」
将来の可能性を残す言い回しです。
例:「今回は見送らせていただきます」
- 「お受けいたしかねます」/「いたしかねます」
「できません」を丁寧にした表現です。冷たく聞こえないよう理由を添えると良いですね。
例:「納期の関係で、お受けいたしかねます」
- 「お断りさせていただきます」
穏やかに断るときの基本表現です。
例:「今回はお断りさせていただきます」
- 「お力になれず申し訳ございません」
断る際に、気持ちも伝えたいときに使えますよ。
例:「ご期待に添えず申し訳ございません」
逆の意味に注意:「ご遠慮なく〜」
最後に要注意なのが、「ご遠慮ください」と逆の意味を持つ「ご遠慮なく〜してください」という表現です。
これは、「どうぞ気にせず〜してください」という意味なので、誤解を招かないよう注意しましょう
例:「どうぞご遠慮なく、お申し付けくださいね」
「お控えください」「ご遠慮ください」の違い、まとめ

「お控えください」「ご遠慮ください」の違いと正しい使い分け方、今回の説明で分かったかな?最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを見て、頭の中を整理してみてね。
お控えください | ご遠慮ください | |
---|---|---|
核となる意味 | 「やめてほしい」「配慮してほしい」 | 「控えてください」「慎んでください」「禁止」 |
語源 | 和語「控える」 | 漢語「遠慮」 |
ニュアンス | 柔らかい依頼、自制の促し | やや強い依頼、禁止の促し、辞退の促し |
与える印象 | 配慮的、穏やか、自主性に委ねる | 直接的、やや硬い、規則的 |
適した場面 | 個人的な配慮を求める場面、軽微な注意 | 公的な場での規則、明確な禁止事項、辞退の促し |
「お控えください」「ご遠慮ください」の使い分けクイズ

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